RGM 79G 「GM-COMMAND」
< 製 作 記 >

1) 製作の目標

 ヤラレメカ代表格の「ジム」ですが、虚飾を廃したシンプルデザインは、むしろ兵器としてはリアリティがあります。そこで、切り込み隊長のジムコマンドが先頭に立ち、後続に一般兵のジムが構えた市街地戦を想定してディオラマを作成中です。

 まず、先行して単品での撮影を行いました。ジムコマンドでは、実弾タイプのアサルトライフルを構えた、量産機ならではの魅力を表現しています。 

 ジムコマンドは、「出渕裕」氏によって力強くリファインした傑作デザインです。ただし、私個人的には、出渕氏のデザインは格好つけ過ぎに思え、愛嬌がありながらも無骨で凛々しく飽きない「大河原」デザインには、足元にも及ばないですね。

2) プロポーション

 使用キットは「ポケットの中の戦争」時代の初版キットで、現在の「HGUCキット」には劣るものの、なかなかの良素材です。

 しかし、立ちポーズではすらりと足が長く格好の良いプロポーションも、緊迫する戦闘シーンでの、腰を落とした大胆なポーズでは、返って不自然になります。

 ジムコマンドもジムも足首付近を切りつめ、ジムでは短すぎる上腿を延長します。 また、膝関節部も改造もしくは新造しないと足が折り畳めません


 これはキャラクターモデル当初からの欠点で、特に膝下からは異様に長く、足が大きいため矯正作業は欠かせません。この欠点は、1999年に私がザクの作例で指摘しましたが、1/100MG ザク Ver.2.0では、ようやく見直されたようです。

3) ディティールアップ

 キットに付属するクリアパーツは着色されている上、分厚くオモチャ的で、兵器らしい緊張感を著しく損ねています。

 そこで、
精密感を向上させるため、頭部カメラレンズおよびゴーグルを透明パーツとして自作します。

 カメラレンズはアクリル板を削りだしてはめ込み、ゴーグル状の覆いをかぶせます。

 ゴーグルは、自作のバキュームフォーム器で作成します。

 素材はPET(ポリエチレンテレフタレート)になります。透明度はやや落ちますが、熱収縮しないので、バキュームフォーミングには適した素材です。

 風防(キャノピー)などの薄く立体的な透明部品は、このバキュームフォーミングしか作製方法がありませんので、キャラクターモデラーにおいても必須テクニックと言えるでしょう。

 シンプルデザインが良いとは言え、単調な平面が多いとスケール感が出ないものです。

 塗装で工夫する必要がありますが、その前に、メカらしい分割線を施すことで、作者のオリジナリティを表現したいところです。

 立体的な面へのスジ彫りとなり、深さや幅が均一にならず苦労しました。反省点です。
 

4) 演出

 人型兵器ですから、手先が一番表情をつけやすい部分になります。

 敵にねらいを定めるポーズはジムのビームスプレーガンに任せ、ジムコマンドは、先祖返りしたような「実弾タイプの突撃銃:アサルトライフル」ですので、マガジンを交換するシーンとしました。

 マガジンを、上から鷲づかみする指先を表現します。

5) ベース(飾り台の製作)

 ほこりっぽい陸戦兵器に対し、あえて鏡面仕上げのピカピカベースを用意します。モデルが地味な配色ですので、思い切ってマホガニーとしました。

 素材は、デコパージュなどに使われるオーバル型のカット済み集成材です。

 ニスを筆塗りしては、表面を1200番の耐水紙ヤスリで研ぎ出し、10回くらい重ね塗りすることで分厚い皮膜を形成します。

 最後の仕上げはエアブラシ塗装です。

 (写真は、まだ2回塗り目)


6) 撮影

 漆黒の背景はモデルを引き立たせ、高級感や引き締まった感じがでるので、とても効果的な演出方法です。

 しかし、背景からの柔らかな反射光が期待できないし、画面全体でのコントラストがきつくなるので、光の当たっているところは白く飛びやすかったり、逆に影の部分は黒つぶれしやすいので、撮影は一気に難しくなります。

 奥の背景には光を極力当てないようにし、モデル周辺にだけ柔らかな光を当てるため、ライティングは慎重に行います。

 写真では左右2灯ですが、実際の撮影では、もうひとつ正面斜め上から、手持ちでライトを当てて3灯で撮影しました。
 
 黒背景では露出オーバーになるので、露出補正も必要です。

 

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