RGM 79 「GM」
< 製 作 記 >

1) 製作の目標
 
  ビームスプレーガンという弱々しい「小火器」だからこそ、しっかりねらいを定め、今まさに撃たんとする緊張感を再現したいと思います。

 つまり、重装備や大型火器と言ったアイキャッチャー(目立つ部分)が無いため、鑑賞者の視点はポージングに集中すると思うのです。関節位置や各部のプロポーションなどがわずかに狂っただけで不自然になりますから、気が抜けません。

 このため、HGUCのキットですが、ほぼ全てのパーツに手を加えています。実際、ストレートに組めるパーツはほとんどありませんでした。

2) ポージング

 可能な限り、関節可動部を殺さずに・・・という欲はどうしてもあるのですが、やはり、中途半端なポージングでは、躍動感や緊張感は再現できません。

 随所に設けられるポリキャップは、単なる接合に用いると割り切ったほうが良さそうです。

 ジムのデザイン状の難点は、腰部の前面装甲ですね。まるで番頭さんの前掛けみたいで何とも締まりがないのですが、クリアランスを調整しつつ、浮いた感じにならないよう追い込んでいきましょう。

3) ひざ関節

 ポージングにおいて、脚部を曲げた状況の再現というのは特に重要です。人間で言えば、骨格や筋肉の動きを正しく考慮しなければならないように、ロボット模型にも同様の配慮が必要です。

 上腿を適切な長さに伸張し、ヒザ関節部を独立・二重間接化させ、かつ回転軸を後方・下方に移設することによって、自然な脚部になってきました。

 この状態でキットそのままの「足」をつけると、ものすごくデカイことがばれてしまいます。それほど、キットのプロポーションは「かっこつけだけ」と言うことですね。

4) 足首

 キットの足首関節もかなり良くできていますが、横方向の可動範囲は十分ではありません。そこで、大胆なアクションポーズでも足裏の設置性を向上させるべく、ボールジョイントのボール部分と下腿側を分離し、下腿内部に横方向の関節を設けます。

 くるぶしと干渉するスソの内側は、湾状に切り欠きます。

 また、足の甲を保護しているカバーも、内側方向に傾斜させて、足と下腿のつながりを良くします。

 これでようやく2〜30度くらいの傾斜角は確保出来ました。

5) ディテールアップ

 連邦MSの標準的な仕様である「ステレオカメラ」と、眉間の「モノラルセンサー」を再現します。

 素材は透明アクリル板で、左右対称と厚みに留意し削り出していきます。

 カメラを保護するゴーグルは、PET(ホリエチレンテレフタレート)板をバキュームフォーミングで成形。 顔面とツラ一になるよう接着します。

 ステレオカメラがハッキリ見えることで、ジムがガンダムの量産型であることが強調されますね。
 

6) 左手

 ピストルサイズの銃を扱う場合、様々なポーズをとることが可能なので、表情を付けるには工夫する余地がたくさんあります。

 今回は、左手をしっかり添えて狙いを定めるポーズです。

 幸い、キットには左手の「開き手」がついているので、一度、指を切り離して角度をつけたり、ライターであぶって変形させます。

 右手は銃のグリップをしっかり握りしめ、左手は、下から軽く包み込むわけです。

7) ウェザリング

 ほこりっぽい陸戦兵器らしくなるよう、田宮のウェザリング用パステル「ウエザリングマスターA,B」で、派手に汚していきます。

 ドライブラシに比べ調整がしやすく、作業がしやすいです。