一昔前、すなわち、DVDの登場とそれに伴うホームシアターブーム以前は、オーディオ入門のために揃える機器について、それほど悩む必要はありませんでした。

 最もシンプルな、@プレーヤー+Aアンプ(プリメインアンプ)+Bスピーカー(左右2本)、および、これらをつなぐケーブルを準備すれば良かったわけです。オーディオとは、「記録された信号」を最終的に「スピーカーによって」音に再現する過程ですから、どこかの性能が低いと、そこがいわゆるボトルネック(制限要因)となるため、@ABに割りあてる予算は、ちょうど1:1:1位が良いと言われたものです。

 90年代前半頃で言えば、十数万円〜20万円ほどの予算があれば、初心者〜中堅クラスのユーザーが満足できるセットが組めたと思います。実売価格で、CDプレーヤーが4〜6万円、プリメインアンプが4〜8万円、スピーカーが6〜12万円といったところでしょうか。(ケーブルを除く)

 普段、私たちは、「良い音・悪い音」と単純に言ってしまいますが、オーディオの経路を考えるとき、信号は常に劣化にさらされるとともに、予想しないような音色の変化色づけ=カラーレーションと呼ぶ)が発生します。つまり、元々の演奏の再現はもちろん、記録された信号を完全に再現することは事実上不可能であるわけです。その意味では、音を悪くしないための努力が必要であって、良くする手だてはないと考えて良いと思います。

 ただし、悲観する必要はありません。これまでに書いてきたように、オーディオによる再生音は、ある意味、コンサートホールのベストの位置で聴く音よりも、「良い音」もしくは「好みの音」になる可能性はあります。同様に、ホームシアターも、映画館の代用品ではありません。ある意味映画館を凌駕する部分はあるし、そもそもが、比較して優劣をつけるものではないのです。

 ケーブルの材質や組成、電源の強化、コンデンサー等部品の高精度化など、アマチュアレベルであっても、良い音(好みの音?)を追い求めることはできるし、そのことによって、音楽の微妙なニュアンス、演奏会場の広さや演奏者のテクニックなどを、音だけで分かってしまうようなシステムを組むことは可能だと思います。(もちろん、聴く側の経験・訓練は必要ですが・・・笑)

 だから、財布の中身等の予算上の問題だけでなく、今、この時点で自分は何をねらっていくのか、どこを向こうとしているのかを、見定めていく必要はあると思うわけです。
 「そんなの難しい事、わからないよ〜」・・・・ごもっともです。だから、少しずつ歩んでいくんですね〜。

前置きが長くなりました・・・
つづく・・・。