バキュームフォーミングによる製作
 <MS−06ザク編>
 左のMS-06Fは、上腿が1/100 旧MSV(モビルスーツバリエーション)の06R2ジョニーライデン機改造、ヒザ関節以下がスクラッチ(自作)で、下腿と足(foot)はバキュームフォーム(吸引成型)による製作。

 中央の06Sは1/100MG(マスターグレード)の素組
 右が1/100 旧MSVの06R2の素組(比較のため下腿バーニアカバーは未装着)

 一見するとマスターグレードはメリハリのあるプロポーションで、下腿が長く、かっこよく見える。仁王立ち(におうだち)ポーズならば、パッと見のかっこよさは演出できるとは思う。

 @のラインは、06Fにとってはヒザ二重関節の上側で、06Sでは下側。06Rでは一重関節の部分。

 Aのラインは、06Fにとってはヒザ二重関節の下側。

 Bのラインは、06Sにとってはヒザ二重関節の上側。
 足裏の大きさ比較。

 自作の06Fは、他のキットに比べて二周りほど小さくした。小さくし過ぎたかなと言う気もするが、下の写真を見るとそうでもないことが分かる。形状は楕円形になってしまい、後ろ半分はもう少しボリュームがあっても良かったかもしれない。

 形状としては06Sが良いと思うが、後ろ半分がやや角張り過ぎか。

 06R-2は左右非対称。裾広がりのカバーとのバランスを取るためか、幅が広い。
 自作の06F(06R-2改造)は正座に近い角度まで曲げることが出来る。一方、マスターグレードの場合、素組ではここまでしか曲がらない。

 仁王立ちポーズ(直立)では、たしかにマスターグレードの裾広がりで、下腿の長いプロポーションは見栄えがするのだが、腰を落とすなどのアクションポーズをつけたとたんに、バランスの悪さが露呈してしまう。いくらなんでも足(foot)が大きすぎるのだ。

 大河原氏の設定画は、巨大ロボットを足下から「あおる」ように見上げたような遠近法が用いられている。それは、頭上から俯瞰(ふかん)した設定画では、下に行くほどほっそりと描かれていることからも理解できる。2次元の表現としてはそれで良いが、3次元の模型に用いる場合には気をつけた方がよい。迫力や巨大感は、本来、写真撮影のテクニックなどで演出するべきであろう。

 例えば、ダイナミックなプロポーションに見えるスポーツカーだって、三面図でみると意外に抑揚はなく、おとなしい姿をしているものである。
 大幅なプロポーションの改変には、キットの切り貼りやパテの盛りつけでは、作業効率や表面・ディテールの処理で苦労する。

 原型を作って型どりするという方法がかえって効率的な場合もある。

 型どりには、レジンキャストのような鋳型方式と、下に紹介するバキュームフォーム(吸引成型)方式がある。

 原型の素材は何でも良いのだが、木材の場合、表面に現れる木目の様子で、プロポーションや左右対称の確認がしやすい。

 なお、バキュームフォームでは、原型の表面処理にそれほど気を使う必要はない。

 注意点は、プラ板の厚み分だけ小さめに作ることである。
 手作りのバキュームフォーマー。材料はホームセンター等で入手できる物ばかりであり、数百円程度で作れる。

 上面が突型(凸)になっているが、小さなパーツを作るときは一番上の木枠(外枠・内枠)にプラ板を挟んで成型する。下に見えるアルミ枠も同様に(外枠・内枠)になっており、大きめのパーツを成型するときに使える。

 枠に固定したプラ板は、ガスレンジでまんべんなく熱する。コツとしては、溶けない程度にポヨポヨになるまで柔らかくすることである。

 あまり薄いと、成型後は伸ばされた部分の強度が不足するので、プラ板の厚みは1o位が適している。
 足(foot)は木型ではなく、人形模型等でよく使われる化学粘土(フォルモ)で作製した。

 金網から1pほど浮かして固定する。

 掃除機で吸引しながら、熱したプラ板を素早く上から被せれば、型を包み込むようにプラ板が密着する。
 
 実際の作業状況については、いずれ紹介予定です。