VF−1S SKULL LEADER
< 製 作 記 >

1) 製作の目標

 バルキリーならではの「流麗な動き」や「躍動感」をどう表現するかが製作の要点となります。

 「バンダイ製キット」の特徴である、独特の「ボリューム感」や「ダイナミックな形状」を活用し、小さすぎる「顔」や大きすぎる「下腕」についてはプロポーション矯正を行った上で、ポージングやディテールアップ、撮影構図などを工夫していきます。

2) ポージング

 大胆なポーズで、戦闘中の一瞬の動きを再現します。右足は地面に膝をつかせ、バネが縮むように折りたたみ、左足は斜め前方に投げ出すことで、「緊張と解放」・「静と動」といった対比を生み出します。

 これは全身にも言えることで、右半身の緊張と左半身の開放感の対比により、三角形の構図を描くことで、躍動感が出てきます。


 また、表現手段として「手」は最も表情の出せる部分ですので、銃を持つ右手の握りしめた状態や、相手を制圧するかのような左手の指の広がりに留意します。

3) ディティールアップ

 精密感を向上させるため、頭部カメラレンズ周りとガンポッドのレーザー照準器を透明パーツとして自作します。

 レンズと照準器は透明プラランナーで加工します。


 照準器については、指先でつまんでコンパウンド磨きをするには、限界に近いサイズでしょうか。

 塗装は本体との接合面にしか行っていませんが、凸レンズ効果で、光の当たり加減によっては自発光しているように見えます。 
 

 ゴーグル状のレンズガードについては、バキュームフォーミングで作ります。透明プラ板などの薄いPS(ポリスチレン)は加熱収縮するので不向きです。素材にはPET(ポリエチレンテレフタレート)を用い、ガスレンジで加熱して、白濁する一歩手前で吸引成型します。

4) スジ彫り、凹モールド再現等

 キット成型の都合から、首の付け根付近などには凹モールドが見られませんので、それらしくスジ彫りします。

 また、極細ドリル(ピンバイス)でも対応出来無い微小な穴は、「焼き針」で開口します。

5) 水転写デカールの処理

 水転写デカールの透明な余白部分は、光の当たり具合で目立つため、デザインナイフで切り取っておきます。なお、経年変化でボロボロになってしまった部分もあって、使えなかったデカールもありました。

 貼付後は、半ツヤクリアーで全体をコーティングすることで、段差を極力目立たなくし、シールを貼ったような「後付け感」を無くします。


6) ベース(飾り台の製作)

 油絵に額縁が必要なように、作品を引き立たせるためにもベースは用意したいところです。敵戦艦の装甲(外皮)に降り立ったようなイメージとし、骨組みが浮き上がり、ビームの被爆が見られるなどのダメージ感を出します。

 下から、サンダーで角を3o程度の幅に渡り45度落とした「朴の木」→ 着色ニス(メープル色)2回塗り → エポキシ接着剤 → 0.3o厚透明プラ板 → スチロール系接着剤 → 5o厚密度発砲スチロール板 → 木工用(酢酸ビニルエマルジョン系)接着剤 → 表面保護のための上質紙 → 溶きパテ塗装 → 本塗装となります。

7)塗装

 もともと、航空機系のメカですので、派手な汚しは似合わないため、グラデーション塗装を基本としながら立体感を出し、無難にまとめていきます。

 ただし、足先や銃については、ドライブラシで軽く汚しを入れておきます。

 墨入れはグレー系で行います。浅い凹部分については溶剤によるふき取りでは消えすぎてしまうので、消しゴムで擦ると調整がしやすいです。

 1/72というスケールを考慮し、航空機系の定番仕上げである半ツヤで全体をコーティングし、色調を整えます。

)撮影

 白い機体を一層目立たせるためには、漆黒の背景に浮かび上がらせるのが一番効果的です。背景には木綿布(90×120p)を使い、光が当たらないよう配慮します。

 黒背景はコントラストが強いため、光の当たる部分は露出オーバーになり白くつぶれやすくなります。かといって、スポット測光で明るいところを基準にすると、陰は黒つぶれしてしまいます。

 また、透明部品には「ホットスポット」を作らないことも重要です。内部構造が見えなくなってしまうからです。できるだけ全体的にまんべんなく光を当てながらも、その一方では、陰影をつけて「立体感」を出すことも忘れてはいけません。

 このため、ライトの角度や、カバー、ディフューザーを調整し、レフ板(反射板)の配置を工夫します。

 全体にピントが合うよう、つまり被写界深度を確保するため、カメラの絞りをできるだけ絞りたいところですが、光量が不足すると暗部ノイズが盛大に出てしまいます。(最近の高性能CMOSセンサーならば大丈夫かもしれませんが。)

 近接広角の方が、巨大感は出やすいのですが、やや離れて望遠で撮影することでピントを確保し、絞りは開放します。