画面のサイズは対角線で測る
  ( 1インチ=2.54cm )
  ワイドスクリーン(16:9)の
 100インチなら横幅は221cm!

 映画の重要な要素の一つは「大画面」でしょう。「家庭内では、どれくらいの大きさを確保すればよいのか?」ですが、迫力や臨場感を得るためには、画面への「没入感」をどう確保するかが課題です。

 NHK放送技術研究所の心理学的実験によると、「視野角が30度くらいから臨場感を感じ始め、100度くらいでほぼ最大になります。現在のハイビジョンは視野角30度で設計しており、視力1.0の人が画面を見て、画素の構造がぎりぎり見えない距離を基準にすると、走査線の数は約1000本必要となります。」とのことで、現在は走査線4000本以上の超高画質TVを研究しているそうです。

 映像を映し出す方法としては、「直視型」「投写型」に分けられますが、視野角を大きく取るためには、「投写型」が圧倒的に有利です。「直視型」と「投写型」の最大の違いは、「部屋が明るくても見られるかどうか」にあります。ホームシアターは生活空間の中に設置する場合が多いので、この点は大きなポイントと考えられます。それでも、「絶対に部屋を暗くしたくない!」という方以外は、「費用対効果」の高い投写型をおすすめします。

 表1をご覧ください。映画に適した「横対縦=16:9」のワイドスクリーンでは、100インチで画面横幅が221pになることが分かります。住宅事情によりますが、8畳〜10畳くらいの部屋へ設置する場合が多いでしょう。スクリーン画面には黒い枠が10pくらいあり、そこから更に両側にスピーカーを設置して、壁から20p離すことを考えると、8畳間の幅(2間=360p)だと、最大で110インチということになります。表1では、幅30センチのスピーカーを想定してますから、大型スピーカーを導入したい場合は、画面はより小さくならざるを得ません。

表1 スクリーンの大きさを決定するための各要素
画面サイズ(16:9のワイドスクリーン) 必要な部屋の幅 試聴距離 <参考>
視野角60 視野角30 3:4の映像を見ると
対角線 縦の1.5倍 縦の3倍
インチ p p p p p p インチ
120 305 149 266 386 230 496 98
110 279 137 244 364 211 454 90
100 254 125 221 341 192 413 82
90 229 112 199 319 173 372 74
80 203 100 177 297 153 330 65
50 127 62 111 231 96 207 41
視野角と試聴距離の計算は、Exel等の表計算ソフトのタンジェント計算でできます。

   ここで考慮したいのは、大画面になりすぎると画質が荒くなることと、CDなどの2チャンネル再生では、左右スピーカーの間隔が開きすぎることです。視野角60度では近すぎて画質が追いつかず、視野角30度では、かなり遠い位置から見る事になります。部屋のどの位置から見るかは様々な条件が絡んできますが、仮にスクリーンから250p位離れた位置から見ると想定すると、スクリーンサイズは80〜110インチ位になるでしょう。80インチではやや迫力に欠け、110インチではセッティングがかなり厳しくなりますから、90か100インチがベストになります。(「はじめに」の写真は110インチスクリーンで、部屋の左右幅は355pです。)
 スクリーンの素材(材質)や電動・手動、天つり・床起き立ち上げなどの細かい仕様については後述します。


ブラウン管プロジェクター

 さて、次は、大画面と画質との関係が気になりますね。

 普通の地上波TVやDVDの走査線数は525本で、情報量としてはハイビジョンの1/5位しかありません。日本やアメリカで採用している、このNTSCという方式は、そもそも14インチ画面を基準に作られているんです、え〜?

 それでは、できるだけきめ細かい映像を描くためには、そのような装置(デバイス)が適しているのでしょうか?代表的な装置としては、ブラウン管、プラズマ、液晶、DLPなどが挙げられます。

 これらの中で、最も良質の映像を描けるのは、実は100年以上の歴史を持つブラウン管であり、それ以外の方式は改善の余地があったり、まだ非常に高価であるなどの欠点があります。それでも、ブラウン管は、大画面としての主役の座を他の方式に完全に譲りました。従来のテレビは、ほとんどがブラウン管の直視型でしたが、36インチが製造の限界で、かつ、すさまじい重さでした。また、ブラウン管を用いた投写型(プロジェクター)については、全ての国産メーカーが90年代後半に撤退しています。家庭用でさえ最低でも1台100万円以上と高価で、調整と設置は素人の手に負えるシロモノではありませんでした。

 話の流れからすると、理想と現実のギャップが激しいんだけど・・・不安? ご安心を!つづく・・・。