そ よ 風 は 何 い ろ
- roadster story -

2 平成の幕開け

 「天平らかに地成る」 小渕官房長官から新元号が発表されたのは、昭和天皇御崩御同日の1月7日。激動の昭和に替わる、新しい時代の幕開けを予感させた。溯れば、1985年の中曽根内閣による「プラザ合意=円高容認」以降、この国は狂乱のバブル経済をひた走ることとなるのだが、歴史的な長い目で見れば、圧倒的品質と適正価格を誇る日本製品 (ジャパン・アズ・ナンバーワン)が世界を席巻した時代の、正に頂点でもあった。

 この年の2月、一つの小さなスポーツカーがシカゴ・モーターショーで発表される。 − MAZDA MX−5 miata − 日本では、マツダの新生ブランド「ユーノス」を代表する、「ロードスター」と呼ばれる車である。開発コード名「J58G」。当初は単に「LWS:ライトウェイトスポーツ」と称される、正式な商品開発ですらない夢のプロジェクトであった。プロジェクト開始は1983年とされるが、アイディアスケッチは1979年当時、既に存在したとも言われている。

 今にして思えば、日本経済の驚異的躍進と符号を合わせるがごとく、この小さなスポーツカーの開発は進められた。しかしながら、数多く残されているロードスター開発の資料によれば、当時、このような2シーターオープンスポーツの成功は誰も予想しない出来事であったとされている。それは、自動車を取り巻く環境が厳しくなるにつれ消えていった「小型オープンスポーツカー」の復権であり、忘れられていた「夢」の再来であったと言うのだが・・・。

(2004/8/3)

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