そ よ 風 は 何 い ろ
- roadster story -




基本的には、マニュアルトランスミッションの
シフト操作、そのものを楽しみたいものだと思う。

22 トランスミッション

 アクセルペダルを踏み込むと、吸気管内のスロットルバタフライが開き空気流入量は増大し、それに伴なって燃料噴射が多くなってエンジンの回転数は高まる。(キャブレター:霧吹きの原理を応用した気化器の場合は自然に。電子制御式燃料噴射装置の場合は最適化されたプログラミングに従って。)

 だから、人間は足の踏み込みを通じて「エンジン回転をコントロールしているのだ」、と考えるのは無理もない。でも果たしてそうだろうか?
 操作感覚的には、「蹴り出しの強さ」と「速度の維持」と表現した方が恐らくは正しいだろう。つまり、アクセルペダルは、スピードのコントロールであり、同時に加速度のコントロールでもある。

 そもそも自動車にとって、内燃機関というのは、「回転は十分に高いものの、力強さ(トルク)は不足している原動力」と考えて良いだろう。そこで、必要とする力強さ(加速)及び必要とするスピードに応じて、回転数とトルクの関係を最適化する必要が出てくるのである。つまり、トランスミッションである。

 従って、アクセルペダルひとつで「スロットルとシフト」の両者をコントロールしなければならないAT(自動変速)については、自然な操作感を成立させるのはなかなか容易ではないのだ。もちろん、ATといっても、2ペダル方式には様々あるし、何を主目的に考えるかでその制御に対する考え方は根本的に変わってしまう。

 昨今では、「(2ペダル方式ではスポーツ出来ない)と言う考え方自体が(古い)」という意見を聞くようになった。傾聴すべき部分も確かにあるが、自動車の操作は、スロットルコントロールとシフトコントロールの併用で成り立っているという原点に立ち返れば、その議論については慎重を期さねばなるまい。

 その詳細は後に譲るとしても、少なくともロードスターにおいて、トルクコンバーター型のATでは「画竜点睛」を欠くと言うものだと思っていた。ところが、先日NBロードスターのATバージョンを試乗してみて、牧歌的な雰囲気を併せ持つこの車には、ATでのイージードライブも悪くないのかもと思うようになった。

(2005/5/5)

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