そ よ 風 は 何 い ろ
- roadster story -

4 遥かなる道

 目的地への道のりは、少々遠い方がいい。すぐに叶ってしまう「夢」ならば、到達したときの感激は大きくないだろうから。
 では、スポーツカーへ至る道はどうだろう。二人乗りのオープンスポーツというのは、贅沢な夢なのか。

 スポーツカーとは、性能もデザインも、そして価格までも、容易に到達しない「憧れの存在」だからこそ「夢」があるという人がいる。そもそも道楽品、あるいはセカンドカーであり、性能を十分に発揮できる状況で使ってこそ価値がある、と言われれば確かにそうかもしれない。

 その一方で、楽しければ全てスポーツカーと言う人もいる。スポーツカーを定義づけるという試みは、話しとしては大変盛り上がるのだが、できるかと言えば疑問であり、あまり意味がないと思う。

 さて、マツダロードスターという車、ごく普通のサラリーマンが買えないほど高価ではないし、中古ならばなおさらである。また、街角を曲がるだけでもワクワクすると評価されるほど身近な存在だ。だから、例えば仕事が上手くいかなかった帰り道、あるいは今日も一日頑張ろうという朝のひととき、いつも一緒にいて、励ましや慰めをかけてくれる相棒であって欲しい。たとえ複数台所有が可能であったとしても、ロードスターに関しては休日だけの車ではもったいないと、個人的には思う。

 むしろ制限要因となっているのは、二人乗りであることや、オープンカーであることへの周りの視線かもしれない。

  夢への道のりは、すこし遠いくらいがちょうど良い。だから、「状況が整うまで待っている」という方にはエールを送ろう。夢の実現には、百人百様のエピソードがある。
 NAと呼ばれる初代ロードスターの進化の様子と、いくつかのエピソードを紹介することで、「相棒」を迎入れる予定の方の参考になれば幸いである。それはまた、現オーナーや元オーナーにとっては、共感できる懐かしい思い出だと思う。

(2004/8/8)

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